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技術ブログ/7 地山補強土工の現場載荷実験例

  • 執筆者の写真: BORAM Co.,Ltd.
    BORAM Co.,Ltd.
  • 1月13日
  • 読了時間: 2分

1.はじめに

 地盤の安定に関わる実験はこれまで数多く報告されてきましたが、現場スケール規模の実験はコスト等の制限により、なかなかハードルが高いのが現状です。ここではカールスルーエ工科大学(ドイツ)で行われた地山補強土工を対象にした現場載荷実験例について簡単な考察を行ってみました。


2.現場載荷実験の概要

 図-1に載荷実験状況を示します1)。地盤は砂質土で構成されており、補強材の最大長さはL=3.5 m、水平方向間隔はSh=1.2 m、変状発生時の載荷荷重としてp=110 kN/m2が報告されています。


図-1 載荷実験状況1)



3.考察 

 図-2に示すように、すべり面形状として対数らせんを仮定した場合の安定解析を行ってみました。対数らせんの動径rは下式により表され、ちなみに粘性土(φ=0°)では円弧となります。


図-2 対数らせんについて



 補強斜面の変状発生時(上載荷重p=110 kN/m2)に観察されたすべり面の形状(図-3)を対数らせん近似した上で安定解析を実施したところ、安全率としてFs=0.95が得られました。変状結果について精度良くシミュレートできたと考えられます。ここでTava=ΣNiは補強材の抵抗力、Treqは補強材の必要力であり、Tavaは補強材の現場引抜き試験結果から推定しました。



図-3 対数らせんを用いた安定計算



4.おわりに

 対数らせんと同様に、図-4に示すようなTwo-wedge surface(2楔法)、円弧や直線なども多くの安定計算において用いられています。




図-4  Two-wedge surface(2楔法)の例


 ここで留意すべき点としては類似のすべり面形状であっても、すべり面の選択は単に作用土圧の算定のみならず、補強材力の効果に少なからず反映されることです。マクロな規模での「すべり面形状」に対し、補強材力Nによる補強効果は補強材と交わるすべり面の一点でのごく局所的(ミクロ)な「交角βi」により評価されることが多いため、安定計算結果に少なからず影響を与えます。




 同様に、「交角βi」はグラウンドアンカーや抑止杭の設計などにも敏感に影響するパラメータとなっています。


参考文献

1) Gassler, G.:In-situ techniques of reinforced soil, Proc. of International Reinforced Soil Conference 1990, Glasgow, pp185-196


 
 

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